中京大学スポーツミュージアム館長 來田 享子

当館は、2019年10月に設立されました。初代館長は、1980年代に早くも大学の教育・研究機関としてスポーツ博物館設置構想を表明されていた木村吉次名誉教授です。恩師でもある木村先生の後を継ぎ、2024年から館長を務めることとなりました。

当館は、オリンピックやスポーツの光と影を通し、社会の変化を紐解くというコンセプトをもって、資料収集・整理・保存、展示、研究活動を進めています。このコンセプトを特徴とするスポーツ系の博物館・ミュージアムは、現時点では国内唯一だと考えられます。

開館時の主な所蔵資料は、木村先生をはじめとする本学の研究者による収集、卒業生や教職員からの寄贈が中心でした。学芸員をめざす現役学生たちがその資料の整理・保存を担っています。スポーツ文化を未来に継承するという、本学関係者たちの高い意識と信念によって維持されています。

この意識と信念は、少しずつ社会に広がり、この5年間に、本学とは直接の関わりがなかったスポーツ組織関係者や選手からも寄贈をいただくことができるようになりました。当館を中心にスポーツ文化を通じて人と人とのつながりが生まれていることを実感します。

現在、力を入れているコレクションは、オリンピックの参加メダルと世界中のボール型の競技具です。参加メダルは、大会を機に参集した選手・関係者がそれぞれの生きる場所に持ち帰るものです。競い合いの中で、互いを尊重するという人間性を涵養し、世界の平和をめざすというオリンピックの理念を形として教えてくれる、何よりもオリンピックらしい資料です。ボール型のコレクションは、類似する遊びにも驚くほどの種類と個性があること、そこにはすべての人々に共通性と同時に多様性があることを映し出してくれます。

常設展のほか、企画展は年3回程度、開催しています。
遠隔地にいらっしゃる方は、収蔵資料検索アスリート検索をご覧いただき、いつか当館で実物をご覧下さい。

今後も資料収集を進め、展示内容の一層の充実、教育研究への寄与と地域社会への貢献を行っていきますので、多くのみなさまのご協力とご支援をいただきますよう、お願いいたします。

 

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